コミュニケーション

Communication

『ありがとう』の反対語は何だろう?

『ありがとう』の反対語って何?

「たかはしさん、『ありがとう』の反対語って知ってますか?」

息子が小学校のとき、お世話になっていたM先生から突然聞かれました。

「えっ?!なんでしょうね?・・・・・『ごめんなさい』ですかね?」

「ありがとう」が魔法の言葉だというのは何度か聞いたことがありましたが反対語とは?!

「ごめんなさい」しか思いつきませんでした。皆さんは何だと思われますか?

M先生が教えてくださったのは

「たかはしさん、『ありがとう』の反対語は『あたりまえ』ですよ。」

!!!

なるほど!

ものすごく納得!!

そうか、人は『あたりまえ』と思っていることに対して感謝することはないのか…

言われてみればそうですよね。

古文で「有り難し」と習ったことを思い出しました。

”めったにない” ”めずらしい”

という言葉から来ているんですよね。

『あたりまえ』のことなんてない

お店のサービスに対して横柄な態度をとる人は何なのだろう、と思うことがありますが、

「自分はお客なんだから、店がサービスするのはあたりまえだ」

と思っているから、感謝の気持ちがなく態度が横柄になるんだと思うと理解できます。

うーん、理解はできるけどそういう人にはなりたくない!

そこで日常で『あたりまえ』と思っていることを点検してみると

仕事では、頼んだことをやってくれた部下に対して

「忙しいなかありがとう」

夫に対しても

「お茶碗洗ってくれてありがとう」

探してみると「ありがとう」は日常のなかに想像以上にあります。

・社員が毎日出勤すること

・部屋に入るときにドアを押さえて待ってくれること

・頼んだ仕事をやってくれること

…もう挙げたらキリがない。

世の中には「あたりまえ」のことの方が少ないんだ!というのは大きな気づきでした。

そして、「ありがとう」は伝える側も笑顔になるし、伝えられる側も笑顔になります。

家族も部下も友人も、誰もが嬉しそうな表情になることも改めて気づかされたことです。

当時小1だった息子に対しては

「生まれてきてくれてありがとう!」

やはり息子もとても嬉しそうでした。

(10年以上経った今でも伝え続けています。最近彼は聞こえないふりをしていますが)

「ありがとう」という言葉の効果

もう一つ発見したのは、「ありがとう」と笑顔で伝えてからだと、部下のミスを指摘しても雰囲気がピリつかない、ということ。

素直に「あ、ほんとだ」という感じで眉間にシワも寄らずサッと修正作業に入ってくれます。

  • ◆「ありがとう」がない場合

部下「依頼されていた資料作成しました」

上司「あれ?ここ間違ってるぞ」

部下「…」

  • ◆「ありがとう」がある場合

部下「依頼されていた資料作成しました」

上司「おー、早速ありがとう! …あれ?ここ間違ってるぞ」

部下「あ、ほんとだ、失礼しました。すぐ修正しますね!」

ほんの小さなことなのですが、

・上司(伝える側)の「ありがとう」という感謝の気持ちを受けとめる

・部下(伝えられた側)の心が穏やかになる

・心にゆとりがあるので指摘を受けてもムッとこない

・素直な気持ちで「修正が必要なんだ」という事実のみを受けとめられる

というやりとりです。

これは部下だけでなく、誰に対しても同様の効果があります。

「ありがとう」と言ってくれる相手には、人は素直になれるのですね。

(これはもちろん”言えばいい”というものではなく、心からの「ありがとう」の場合です)

文字で読むと「こんなことあたりまえじゃないか」と感じると思います。

とは言え、私たちは実践できているでしょうかか?

いいえ、いくつもの職場を見てきましたが、誰もがいつでもできているわけではありません。

頭ではわかっていてもできていない人が大半なのです。

しかし、こんな小さなことを実践することで、モチベーションを保ちつつ生産性を高められるならば本気で取り組んでみる価値があります。

上司やリーダーは部下をほめるべきだ、というのは定説ですが、意識すると難しい場合もあります。

そんなときにはまず

「○○してくれてありがとう」

と伝えることから始めてみませんか。