株式会社ヒューマネージが企業で実施したストレスチェックの分析結果を2021年2月に発表しました。これは同社が約70万人に対して行ったストレスチェックの結果を経年データで分析した大規模な調査報告です。
2015年12月より「ストレスチェック制度」が施行され、労働者が50人以上いる事業所では毎年1回すべての労働者*に対してストレスチェックを実施することが義務付けられました。
*契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。
今回の調査結果の興味深い点は、医師による面接指導の対象となる「高ストレス者」の割合を「コロナ前」と「コロナ禍」で比較している点です。
・<コロナ前>2018年12月~2019年11月実施分
・<コロナ禍>2019年12月~2020年11月実施分
もちろん、組織によって「高ストレス者」の評価基準は異なるので単純に比較することは難しいのですが、約70万人という大規模なデータ分析結果であることや経年データで比較できることに大きな意味があると考えます。
「高ストレス者」とは
国として定められた高ストレス者の判定基準はありません。ストレスチェックを実施する前に、それぞれの組織の高ストレス者の評価基準を衛生委員会などの調査・審議により、高ス設定するものです。同じ組織の中でも各事業場の特性を踏まえて、判定基準を定めていく必要があります。
なお、厚生労働省が公表しているストレスチェック制度実施マニュアルで紹介されている高ストレス者の判定基準では、ストレスチェックを受けた労働者の10%程度が高ストレス者となるように設計されています。
全体でみると大きな変化はないが
全体でみると2019年と2020年ではほとんど変化はありません。しかし、年代別にみるとコロナ禍にもかかわらず「30代」「40代」「50代以上」では高ストレス者の割合は減少しています。一方で「20代」の社員は高ストレス者の割合が増加しています。
これは年代×性別で見ても同様で、「30代以上」は男性・女性ともに高ストレス者の割合が減少し、「20代」は男性・女性ともに高ストレス者の割合が増加していることがわかります。
高ストレス者の割合
2019年 | 2020年 | 差 | |
---|---|---|---|
全体 | 12.40% | 12.30% | -0.1pt |
年代別
2019年 | 2020年 | 差 | |
---|---|---|---|
20代 | 11.30% | 13.10% | +1.8pt |
30代 | 14.40% | 14.00% | -0.4pt |
40代 | 13.60% | 12.90% | -0.7pt |
50代以上 | 11.30% | 10.70% | -0.6pt |
年代×性別
2019年 | 2020年 | 差 | |
---|---|---|---|
20代男性 | 10.90% | 12.20% | +1.3pt |
20代女性 | 11.70% | 13.20% | +1.5pt |
30代男性 | 14.20% | 13.30% | -0.9pt |
30代女性 | 13.70% | 13.60% | -0.1pt |
40代男性 | 13.60% | 12.90% | -0.7pt |
40代女性 | 12.90% | 12.40% | -0.5pt |
50代以上男性 | 10.60% | 10.10% | -0.5pt |
50代以上女性 | 12.20% | 11.20% | -1.0pt |
※出所:株式会社ヒューマネージ 2021.2 ストレスチェック分析結果に基づきAplysiaが編集
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